ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「目標に投下できない場合はどの都市でもいいので町の真ん中に落とせ」との指令で落とされた模擬原爆60発

2015年05月01日 | 日本とわたし
模擬原爆って知ってますか?
わたしはつい最近、姫路在住の友人かわちゃんから話を聞くまで、全く知らずにいました。

↓以下、ウィキペディアより



パンプキン爆弾(パンプキンばくだん、かぼちゃ爆弾、Pumpkin bomb)とは、第二次世界大戦中にアメリカ軍が開発、使用した爆弾である。
1945年8月9日に長崎に投下された原子爆弾(原爆)「ファットマン」の模擬爆弾として知られる。
単に「パンプキン」と呼称される場合も多い。

正式名称は「1万ポンド軽筒爆弾」。
「ファットマン」とほぼ同一の形状を有し、重量もファットマンとほぼ同一になるよう調整された模擬原爆で、構造分類上での通常型爆弾のコードネームである。
マンハッタン計画に携わる、ロスアラモス研究所の科学者と兵士によって命名された。
この爆弾は、原爆投下に備えた爆撃機乗員訓練のためと、今までに例のない特殊な形状をしたファットマンが爆撃機(原爆搭載可能なように特別に改修したB-29)から投下され、
爆発するまでの弾道特性・慣性能率等の様々な事前データ採取のために、いわば「模擬原爆」として製作された。

ー中略ー

実戦投入
投下の目標とされたのは、原爆投下候補地だった京都市、広島市、新潟市、小倉市の各都市を4つのエリアに分けた周辺都市、
(広島市ならば宇部市、新居浜市など、新潟市ならば富山市、長岡市など)にあった軍需・民間の大規模工場・鉄道操車場等であった。
原爆投下候補都市は、原爆による威力を正確に観測するために、事前の空襲は禁止されていたために、周辺都市が目標となった。

1945年7月20日、新潟エリアである富山市・長岡市・福島市・東京都(実例の一部として、現在の練馬区大泉学園地区、西東京市の西武柳沢駅近辺)へ、計10発投下されたのを皮切りに、
30都市に50発(うち1発は任務放棄し爆弾は海上投棄された)ほどが投下され、全体で死者400名・負傷者1200名を超す被害が出た記録が残っている。

しかし、投下は爆撃手の目視によると厳命されており、天候などの制約があるため、必ずしもその場所に投下された訳ではない。
アメリカ軍の資料によれば、前述の目標に投下できない場合には、臨機目標としてどの都市でもいいので町の真ん中に落とすように、という指示があったとされる。

その為、7月26日の訓練では、天候悪化により富山の軍需工場への爆撃に失敗し、
その帰りに島田市(島田空襲)、焼津市、静岡市、名古屋市、大阪市など、軍需工場とまったく関係ないところにまで投下されたというような例もある。

搭載機は、原爆投下任務時同様に、パンプキンを目視にて投下後、速やかに155度の急旋回・急加速にて回避行動をとることとされた。
これは原爆投下後、搭載機を含めた攻撃部隊が、爆発に巻き込まれることを避けるためである。
もっとも、原爆投下任務全てにおいて、爆撃機乗員の生命の安全は何ら保障されていなかったようである。
戦後、米戦略爆撃調査団はパンプキンに対して、
「当該爆弾が、目標に直撃及び至近弾となった場合、目標に相当量の構造的被害を与える非常に合理的かつ効果的な兵器であった」、との評価を下した報告書をまとめている。
原爆投下より、前の模擬投下は「フェーズⅠ」として行われ、その後「フェーズII」として、8月14日に春日井市に4発、挙母町(現豊田市)に3発投下されている
これは戦後に、この爆弾を使用して効果が得られるかどうかのテストとして行われたもので、有効な兵器とされたが、生産コストに見合わないとして不採用とされた。
そのため、テニアン島に残っていた66発のパンプキン爆弾は、その場で海に沈められ破棄された。
爆弾の破棄には、機密保持の意味もあったとされる。

陸軍航空隊のエリートパイロットでB-29「ストレートフラッシュ」の機長であったクロード・イーザリーは、7月20日の訓練で、
郡山市の天候悪化のため、皇居に向けてパンプキン爆弾を投下(昭和天皇の殺害を目論んだとも言われている[1])するも目標を外し、呉服橋に着弾させている
アメリカ軍は、降伏交渉相手であると同時に、日本人に対する心理的影響を懸念し、皇居を狙ったいかなる攻撃も禁止していた為、イーザリーのこの独断行為は命令違反とされた。
その為、本来広島への原子爆弾搭載機に指定されていたイーザリーの搭乗する「ストレートフラッシュ」は任務を外され、気象観測機として「エノラ・ゲイ」に随伴する事となった。


↑以上、転載おわり

人殺しと町の破壊を目的に作られた爆弾に、パンプキンなどというふざけたニックネームをつけて呼ぶ神経。
「目標に投下できない場合には、臨機目標としてどの都市でもいいので町の真ん中に落とすように」というような非情なことが指令としてまかり通るのが、軍という組織なのです。

模擬といっても、爆弾はプルトニウムとそれを核分裂させるシステムを持っているのですから、落とされた場所はもちろんのこと、周辺にも核物質による汚染が発生しているはずです。
↑以上の文章は、わたしの単なる思い込みで書いてしまったものです。
模擬原爆の内容物は通常の火薬(TNT火薬1万ポンド)で、プルトニウムなどは含まれていなかったと、今知りました。
勉強不足で適当なことを書いてしまいました。本当に申し訳ありませんでした。


軍という組織は往々にして、無極なほどの暴力を平気で振るうものですが、米軍のそれはその中でも群を抜いて酷い。
なぜかというと、権力の極みにのし上がってしまっているからです。
けれどもようやく、そんなことにほとほとうんざりしている市民や退役軍人が、今のような在り方は間違っていると声を上げ、それに耳を傾ける人たちが増えてきました。

日本では今、そんな世にも愚かな、人道的に間違っている戦争組織を作ってしまおうと、躍起になっている人たちがいます。
まるで無邪気な子どもが積み木を積み上げるかのように、だんだんとその姿が大きく高くなっていくのは、本当に恐ろしいです。
でも止めたい。なんとかして。

令丈ヒロ子さんという、子どもたちに人気のある漫画家の方が、すばらしい本を描いてくださったことを、『ピースあいち』の金子力さんという方の記事で知りました。
すっかり前置きが長くなってしまいましたが、ここに紹介したいと思い、転載させていただきます。
(なお、この記事は、2011年に書かれたものです)
↓転載はじめ

「模擬原爆パンプキン」が児童文学のテーマに
金子力
http://www.peace-aichi.com/piace_aichi/201109/vol_22-5.html

 

「パンプキン!模擬原爆の夏」 講談社

今年(2011年)の夏、大阪の知り合いからうれしい便りが届きました。
児童文学作家の令丈ヒロ子さんが、講談社から『パンプキン!模擬原爆の夏』を出版される、という知らせでした。

「令丈さんって知ってる?」
と妻に聞くと、
「おとうさん、何にも知らんねんね!令丈さんは小中学生の女の子に人気の作家やんか。
『若おかみは小学生』のシリーズは春日井の図書館でひっぱりだこやで、その人がおとうさんのこと本にするの?」

おかしな話になっていきそうです。

「ちがうがな、こんなおっさんが子どもの本のテーマになるかいな」
「そらそうやね」
「僕らの『春日井の戦争を記録する会』が、1991年、ちょうど20年前に埋もれていた歴史を発掘して、模擬原爆パンプキンの存在がわかったやろ」
「あの時は、新聞やテレビが大きく取り上げてくれはったねえ」
「そうや、日本の広島・長崎に原爆を投下したアメリカが、日本各地に49発の模擬原爆パンプキンを投下していたことは、日本国内では公表されてへんかったんや」
「ようわかったね」
「それが偶然やったんや。春日井の空襲を調べてたら、8月14日に、今の王子製紙の場所に爆弾が落とされてたんや」
「8月14日と言うたら、終戦の前の日とちがうの」
「そうやねん。あと1日で戦争が終わるという時に、空襲で家を焼かれたり、命を奪われたりしたんや」
「そんなあほなことがあるの」
「それでな、そこんとこを調べて行ったわけや。何のために終戦前日に春日井に爆弾を落としたのか?
「そんなことわかるの?」
「アメリカ軍はちゃんと記録を残しとるんや」
「いつのまにアメリカへ行ったん?」
「行ってへんけど、東京の国会図書館に資料があるんや」
「それでわかったん?」
「いや、それがな、1944年11月から1945年8月までのB-29の出撃記録を調べたけど、8月14日に、春日井はおろか愛知県に行った飛行機が無かったんや」
「見落としたん違う?」
「いやなんぼ見直しても無いんや」
「それであきらめたらだめよ」
「そこで調査は行き詰ったんやけど、『全ての出撃をカバーしているはずの出撃記録に無い』ということがわかったんや」
「何やの、そんなんただのわからんことといっしょやん」
「いや、ちがうんや。ひとつだけ例外があったんや」
「例外?」
広島・長崎に原爆を投下した部隊の記録は誰も見てなかったんや」
「広島や長崎の資料館や研究所の人も見てなかったの?」
「誰も見てなかったかどうかは自信が無いけど、2発の原爆と49発の模擬原爆が、一続きの作戦であったことには気づいてなかったことは確かや」
「なんかおかしいな、日本の都市空襲を調べてる研究者も、広島・長崎の原爆の研究者もいたのに、なんで?」
「あとでわかったんやけど、都市空襲と原爆の研究は別々で行われていて、つながってることに目が向いてなかったようや。
それを見つけたなんて、すごいと思わん?」
「偶然というのは恐ろしいなあ!」
「何やねんそのリアクション!
自分らの仮説を証明する資料を、国会図書館の憲政資料室で見つけたんや。
それは1枚の地図と表やった。
7月20日から8月14日に、広島・長崎の原爆と模擬原爆49発のすべてが書かれていたんや」
「それで原爆投下作戦の全てはわかったわけやね」
「いや、ここからが、新しいスタートになったんや。
アメリカが模擬原爆を落としたという場所と日時が本当かどうか、福島県から愛媛県までの地上の追跡が始まったんや」
「その話長くなりそうやから、今日はここまでにしとこか」
「ちょっと待て、これからがええとこや。
でも時間がかかるから、講談社の人がつくってくれた地図を見といてな」・・・


講談社提供 パンプキン爆弾被弾地マップ

・・・それでな、全国回って思ったことは、49発の模擬原爆がひきおこした悲劇は49ある、ということやねん。
400人以上といわれている犠牲者のお名前も、約300人わかってきたんや。
原爆投下の訓練や実験台にされてきたんや。
このことがわかってから、各地で聞き取り調査がまとめられたり、慰霊祭がおこなわれたり、慰霊碑が建立されたり、紙芝居やミュージカルで後世に伝えようという市民運動も広がってきたんや」
「ふーん、知らんかったわ」
「ただ、若い人にわかりやすく伝えることについては、各地で苦労してきたんや。
そこへ、令丈さんが今度、子供向けのわかりやすい本を書いてくれはったわけや。
『戦争』の文字を見ると素通りしてしまう子でも、『へーそんなことがあったんか、知らんかったな、お母ちゃんにも教えたろ』と、入口のハードルは低くなってるんや。
若い子たちにたくさん読んでもらえるとええねんけど」
「よっしゃわかった、知り合いにも子どもや孫のプレゼントに買ってもらうわ」
「たのむわ。ピースあいちも助かるし」
「何の事?」
「いや独り言」
「おとうさん、忘れてるでしょう?」
「何を?」
「こんないい本出してくれた令丈さんに」
「あっそうや、お礼状をまだ書いてなかった」

*『パンプキン!模擬原爆の夏』は、ピースあいちでも取り扱っています。

戦争と平和の資料館 ピースあいち
〒465-0091 名古屋市名東区よもぎ台2-820 電話・FAX:052-602-4222
[設立・運営はNPO平和のための戦争メモリアルセンター設立準備会が行っています]

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
模擬原爆の中身 (ベーグル男子)
2015-05-08 17:23:50
3年程前から読ませていただいています。
NHKで数年前、模擬原爆の番組を放送。
初めて投下実験が行われていたことを知りました。
番組中でも模擬原爆の中身は通常の爆弾と紹介されていました。
模擬原爆について書かれた書籍は「パンプキン! 模擬原爆の夏」と
もう1冊しか知りませんがいずれも通常の爆弾との記述でした。

→模擬といっても、爆弾はプルトニウムとそれを核分裂させるシステムを持っているのですから、落とされた場所はもちろんのこと、周辺にも核物質による汚染が発生しているはずです。

この情報はどこでお知りになったのでしょうか?
ネット上の情報を無条件に信じてしまう人が多いなと以前より感じています。
3年程前から読ませていただいています。
NHKで数年前、模擬原爆の番組を放送。
初めて投下実験が行われていたことを知りました。
番組中でも模擬原爆の中身は通常の爆弾と紹介されていました。
模擬原爆について書かれた書籍は「パンプキン! 模擬原爆の夏」と
もう1冊しか知りませんがいずれも通常の爆弾との記述でした。

→模擬といっても、爆弾はプルトニウムとそれを核分裂させるシステムを持っているのですから、落とされた場所はもちろんのこと、周辺にも核物質による汚染が発生しているはずです。

この情報はどこでお知りになったのでしょうか?
ネット上の情報を無条件に信じてしまう人が多いなと以前より感じています。
個人のブログといえども情報の確さは必要かと思うのです。
ベーグル男子さんへ (まうみ)
2015-05-08 23:06:25
一番に訂正しておくべき部分をほったらかしにしていたことに気づかせてくださり、本当にありがとうございました!
実はこの件について、誤りを指摘してくださった方がいて(模擬原爆のことを教えてくださった人です)、慌てて訂正したのは、フェイスブックのコメント欄上のことでした。
そのあとわたしは、自身の記事を読み直し、訂正すべきだったのに、どういうわけか訂正したつもりになってしまっていました。
たくさんの方に読んでいただいているブログなのですから、こういうミスはしてはいけないと常々気をつけているつもりでしたが、失敗をしてしまいました。
この、プルトニウムが含まれている、ということについては、わたし個人の単なる早とちり&思い込みです。このような記事を書くにあたり、勉強不足だったと反省しています。

ご指摘をありがとうございました。
テレビに金子さんが出ておられました。 (ミキコ)
2015-08-14 16:13:10
終戦70年の番組として、中京テレビで、春日井市に70年前の今日落とされたパンプキン爆弾の特集番組に金子さんが出ておられました。今、この時間に。8月14日午後4時過ぎ。
ミキコさんへ  (まうみ)
2015-08-16 13:44:53
金子さんは、ご自分が重ねられたご苦労を、ユーモアたっぷりに、軽い口調で話しておられましたけれども、言い尽くせないほどの労力と忍耐が要ったことと思います。
いずれにせよ、戦争というものは、作戦を遂行することのみが重要視されます。人の命や人生を破壊することに思いが行きません。本当に愚かなことです。
検索したらたどり着きました。 (かかか杉岡)
2016-08-16 16:08:59
初めまして。最近のニュースによれば三重県にも落とされ2人犠牲になり亡くなっているというニュースをみました。
恥ずかしながら、初めて聞いたことでしたので、検索しましたら、こちらにたどり着いた次第です。もう少し調べてみたいです。
かかか杉岡さんへ (まうみ)
2016-08-22 13:26:53
初めまして、かかか杉岡さん。コメントをありがとうございました。
わたしも、この記事を書いたきっかけは、姫路に住む友人からこの話を聞くまで、全く知らずにいたことがショックで、それで慌てて検索をしたことだったのです。

三重県には2度、四日市に落とされていますね。
このような馬鹿げたことが当然のように行われるのが戦争です。
どのような大義名分があろうとも、戦争をさせない市民のちからを養いたいです。
Unknown (Unknown)
2018-08-08 13:35:58
わかりやすい説明、ありがとうございます。
Unknownさんへ (まうみ)
2018-08-15 13:11:05
こちらこそ、読んでくださりありがとうございました。

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